長野県／上諏訪温泉『上諏訪温泉 しんゆ』の温泉解説−本物の温泉を使った宿のみご紹介しています。−温泉検索どっとこむ

◆この湯に浸かった著名人

◆温泉レポート

「上諏訪温泉 しんゆ」の温泉は自家源泉「美翠源泉」と、組合が管理している「七ツ釜源泉」を95：5の割合で混合したもの。自家源泉を使用していることの最大のメリットは、新鮮な源泉に入浴できるということ。新鮮な源泉に入浴することの最大のメリットが若返り効果だ。
温泉の新鮮さの指標として、法政大学の大河内正一教授が体系化した酸化還元電位（ORP）というものがある。ふだん人間は呼吸によって酸素を体内に取り入れているが、酸素全体の2％程度が活性酸素になってしまう。活性酸素は非常に酸化力が強く、老化の原因物資になってしまう物質だ。酸化還元電位（ORP）が低い温泉はこの値が低いほど、その源泉は還元系で、要するに活性酸素(老化の原因物質)を除去し、入浴する人を若返りさせる。この宿の源泉は特に若返り効果が高いという調査結果もあるようだ。

泉質は「単純温泉」で、pH8.49で弱アルカリ性（pH8.5以上でアルカリ性）。単純温泉とは、源泉1kgあたりの溶存物質の量が規定値(1,000mg)以下の温泉のこと。溶存物質が少なめであるため肌への負担が小さい、優しい温泉であると言える。
単純温泉は、溶存物質の量が少ないといっても市販の入浴剤を家庭で使用している場合よりも数倍濃い。低刺激性でもあるため、リハビリにも向いていて「脳卒中の湯」「神経痛の湯」とも言われることがある。
単純温泉の泉質別の適応症は自律神経不安定症、不眠症、うつ状態。これらは全て精神面に関する適応症で、これは単純温泉が、刺激が少なく優しい温泉があるがゆえに、リラックス効果が他の温泉よりも優れているのかもしれない。
なお、この宿の温泉は神秘的な雰囲気が漂う諏訪湖を眺めながら湯浴みができるのが特徴。日常目にしないような環境に身を置くことで心身ともにリラックスする。これを転地効果という。

アルカリ性であることも注目だ。一般的に人間の肌は弱酸性であるため、アルカリ性の温泉に浸かると皮膚表面の古くなった角質が溶ける。そのためツルツルとした肌触りとなる。湯上がりには肌が生まれ変わったような感覚が得られるかもしれない。

泉質名には現れていないが、メタケイ酸という物質が93mg、温泉の規定値(50mg以上)の2倍近く含まれている。メタケイ酸は一部の化粧水にも使用されることがある、天然の保湿成分ともいえる物質だ。アルカリ性成分により肌の余分な角質が取れたところに、メタケイ酸という保湿成分が浸透する。この温泉は１回の入浴で２度嬉しい温泉なのである。湯上がりに肌がしっとりとしているだろう。
アルカリ性であることと、メタケイ酸を含むことはそれぞれ美肌の湯と呼ばれる条件のひとつとなっている。

この宿は客室露天風呂や貸切風呂では源泉100％かけ流しだが、男女別大浴場では加温しつつ、循環・消毒している。源泉かけ流しとは源泉を湯船に注いで、溢れた分はそのまま捨ててしまう湯使いのこと。贅沢とも言えるが、温泉パワーをより強く感じたい場合は源泉かけ流しに限る。
だが源泉かけ流しでは、膨大な源泉量ではない限り、湯船内のお湯の入れ替わり頻度が少なめになるため、衛生面の心配が残る。例え源泉量が豊富だったとしてもこの宿のように源泉温度が高温(55.3℃)だと、入浴に適した温度に保つためにはあまり多く注ぎ入れるわけにはいかない。そのため、不特定多数が入浴する大浴場では循環・消毒が必要になるのだ。
広々とした浴槽で開放的に湯浴みを楽しみたい時は大浴場を、この宿が誇る「美翠源泉」の効果を堪能したい時は客室露天風呂や貸切風呂を利用すればいいだろう。