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一般的な適応症と禁忌症、各泉質別の適応症と禁忌症をご紹介します。
Sulfate springs
温泉水1kg中に、溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオン(SO42-)の温泉。
硫酸イオンは、殺菌効果や抗炎症作用があるので、きりきずや関節炎、筋肉痛などの痛みや炎症を和らげる。よって、「硫酸塩泉」も「塩化物泉」と同様「傷の湯」と呼ばれる。また、血管を拡張させ、血液に多くの酸素を送り込む作用があることで「脳卒中の湯」とも呼ばれる。これにより血流が滞りやすい末梢部分(手足など)の血行が促進され、冷え性や末梢循環障害の改善に役立つ。このような血行促進や鎮静作用により、自律神経の調整が行われ、ストレス軽減や精神的な安定に影響を与え、うつ状態の改善にも寄与する。さらには、皮膚の角質層を柔らかくする作用があり、乾燥した皮膚に水分を補給させるので、皮膚乾燥症も改善される。つまり、コラーゲンの生成を促し、肌の蘇生を導き、新陳代謝を活性化する。肌に張りと潤いを与えるアンチ・エイジング作用が期待できる事で「若返りの湯」「美肌の湯」と言われるのだ。
また、飲用すると、硫酸イオンの働きで、肝臓の機能をサポートし胆汁の分泌を促進する作用により、胆石予防や胆道系機能障害に寄与する。さらに、胆汁の流れを良くし、コレステロールの代謝を促進するため、高コレステロール血症の改善に役立つ。また、便を柔らかくする効果があり、腸の蠕動(ぜんどう)運動も刺激するので便秘の改善にも有効なのだ。
なお、「硫酸塩泉」は、陽イオンの主成分により、以下のように分類される。
(1)ナトリウム-硫酸塩泉(旧泉質名:芒硝(ぼうしょう)泉)→「傷の湯」「若返りの湯」
ナトリウムイオンは保温と殺菌作用があり、体を温めることで末梢循環を改善し、冷え性やうつ状態を和らげる効果がある。コラーゲン生成を促し、アンチ・エイジング効果のある硫酸イオンとの組み合わせにより、肌の代謝を促進し、皮膚乾燥症を防ぐ効果や、きりきずの回復も早める効果がある。
飲用では、ナトリウムイオンが消化器の機能を助け、硫酸イオンが腸の動きを活発にすることで便秘を改善する。また、硫酸塩が胆汁の分泌を促すので、胆道系機能障害や高コレステロール血症の改善にも寄与する。
(2) カルシウム-硫酸塩泉(旧泉質名:石膏泉)→「美肌の湯」「脳卒中の湯」
カルシウムイオンは血管の収縮と拡張を調整する作用があり、血圧の安定化に寄与する。つまり、血管を安定させることで末梢循環障害や冷え性の改善が期待できる。さらに、肌の角質形成を助けるので、皮膚乾燥症の改善にも効果的。皮膚再生促進作用があるカルシウムイオンと、肌の弾力を高めシワやたるみを防ぐ効果がある硫酸イオンの組み合わせは、美肌効果を引き出す。
飲用では、カルシウムイオンが腸の働きを安定させ、硫酸イオンが胆汁分泌を促進することで、胆道系機能障害の改善に役立つ。カルシウムはさらに血液中の脂質バランスを整え、高コレステロール血症の予防にも寄与する。
(3) マグネシウム-硫酸塩泉(旧泉質名:正苦味(せいくみorしょうくみ)泉)→「脳卒中の湯」「若返りの湯」
マグネシウムイオンは血管を拡張して血流を促進するため、末梢循環障害や冷え性の改善に寄与する。また、ストレスを緩和する鎮静作用があり、うつ状態を和らげる効果もある。さらに、マグネシウムイオンは、皮膚のバリア機能を強化する作用があり、皮膚の保湿能力を高める。同時に硫酸イオンは、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)を促進させるので、古い角質がスムーズに除去され、新しい皮膚が健康に再生されることで皮膚乾燥症が改善される。飲用すると、マグネシウムイオンは腸の動きを促し便秘解消に効果的。また、硫酸イオンが胆汁の流れを促進し胆道系機能障害や高コレステロール血症の改善も期待できる。
泉質別適応症 | 浴用 | きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 ※塩化物泉と同じ |
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飲用 | 胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘 | |
泉質別禁忌症 | 浴用 | なし |
飲用 | なし |
一般的適応症 ※すべての泉質に関わる適応症。 |
浴用 | 筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進 |
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飲用 | ※飲用には一般的適応症はありません。 |
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一般的禁忌症 ※すべての泉質に関わる禁忌症。 |
浴用 | 病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期 |
飲用 | ※飲用には一般的禁忌症はありません。 |
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