温泉&旅 倶楽部

温泉分析書を読む5STEP

STEP①温泉の条件

温泉法による「温泉」と鉱泉分析法指針による「療養泉」の定義

温泉とは・・・1948年(昭和23年)に制定された“温泉法”では、「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、 別表に掲げる温度又は物質を有するもの」と定められています。
したがって、地中からゆう出した時の温度が、25℃以上あれば温泉となり、また25℃未満であっても下記表の物質(温度以外の19項目のうちいずれかひとつ以上)が規定量含まれていれば、温泉となります。また、条件を満たせば水蒸気やガスも温泉となります。

温泉法上の「温泉」の定義

1.泉温(温泉源から採取された時の温度)が25℃以上であること。
または、
2.25℃未満でも、下記表に掲げる物質条件のうち、いずれか一つが該当すれば「温泉」という。

療養泉とは・・・環境省が温泉の成分分析のために定めた「鉱泉分析法指針」のなかで、温泉(水蒸気その他のガスを除く)のうち、「特に治療の目的に供し得るもの」として、別表の温度又は物質を有するものと定義されています。
いわゆる、私たちが一般的に言う「温泉」とは、この「療養泉」を指します。平成26年の改訂では、その療養泉(泉質名)は10種類に分類されました。しかし、「療養泉」の条件をクリアしない温泉には、“泉質名”がつかないという事になりますが、その様な場合には“泉質名”を「温泉法上の温泉」または「その他の温泉」と表記される事があります。

鉱泉分析法指針上の「療養泉」の定義

1.泉温(温泉源から採取された時の温度)が25℃以上であること。
または、
2.25℃未満でも、下記表に掲げる7つの物質条件のうち、いずれか一つが該当すれば「療養泉」という。

「温泉」の資格20項目と「療養泉」の資格8項目

条件/成分(1kg中の割合)
※ひとつでも条件をクリアすれば「温泉」「療養泉」
A【温泉法】
「温泉」の条件(規定値)
B【鉱泉分析法指針】
「療養泉」の条件(規定値)
1 温度(泉源から採取される時点) 25℃以上
2 溶存物質(ガス性のものを除く) 総量1000mg以上
3 遊離二酸化炭素(遊離炭酸) (CO2 250mg以上 1000mg以上(二酸化炭素泉)
4 リチウムイオン(Li+ 1mg以上
5 ストロンチウムイオン(Sr2+ 10mg以上
6 バリウムイオン(Ba2+ 5mg以上
7 総鉄イオン[Fe2+(鉄(Ⅱ)イオン/フェロイオン)+Fe3+(鉄(Ⅲ)イオン/フェリイオン)] 10mg以上 20mg以上(含鉄泉)
8 マンガン(Ⅱ)イオン(第一マンガンイオン)(Mn2+ 10mg以上
9 水素イオン(H+ 1mg以上 1mg以上(酸性泉)
10 臭化物イオン(臭素イオン)(Br- 5mg以上
11 よう化物イオン(よう素イオン)(I- 1mg以上 10mg以上(含よう素泉)
12 ふっ化物イオン(ふっ素イオン)(F- 2mg以上
13 ひ酸水素イオン(ヒドロひ酸イオン)(HAsO42- 1.3mg以上
14 メタ亜ひ酸 (HAsO2 1mg以上
15 総硫黄 (S) [HS-(硫化水素イオン)+ S2O32-(チオ硫酸イオン)+ H2S(遊離硫化水素)] 1mg以上 2mg以上(硫黄泉)
16 メタほう酸(HBO2 5mg以上
17 メタけい酸(H2SiO3 50mg以上
18 炭酸水素ナトリウム(重炭酸そうだ)(NaHCO3 340mg以上
19 ラドン(Rn) 2ナノキューリー以上
20×10-10Ci(キューリー)以上
20(百億分の1キューリー単位)以上
=74Bq(ベクレル)/5.5マッヘ以上
3ナノキューリー以上(放射能泉)
30×10-10Ci(キューリー)以上
30(百億分の1キューリー単位)以上
=111Bq(ベクレル)/8.25マッヘ以上
20 ラジウム塩(Raとして) 10-8mg以上
1億分の1㎎以上

上記の表にあるように、「療養泉」の資格は「温泉」の資格より条件が厳しくなっています。
また、「療養泉」にのみ「泉質名」(10種類)が付きます。そして、「療養泉」には「適応症」(効能)が認められます。

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この記事の執筆者

執筆者:温泉コム株式会社 CEO 大竹仁一

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